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福井の繁華街に子どもの居場所、孤立防ぎ 母子家庭支援、安価に学習支援や食事提供

共同通信 2024年10月5日 10時6分

 福井市の繁華街・片町に4月、不登校や家庭の事情で一人で過ごすことが多い10代を支援するフリースクール「Teen〓(アポストロフィー小文字のS) Road(ティーンズロード)」が開所した。母子家庭の子どもの利用が多く、学習支援や課外活動、食事の提供を安価で行い、居場所をつくる。市内で飲食店を経営する柿木有紀さん(54)が自身の経験も踏まえ運営し「思春期の子どもたちを家で一人にさせたくない」と語る。(共同通信=山田祐太)

 飲食店が立ち並ぶ街の一角にあるビル。二つある部屋では、英語の教材を広げて勉強に打ち込んだり、ボードゲームで交流したりと、子どもたちがリラックスした雰囲気で過ごす。

 10~19歳を対象に受け入れ、市内外から小中高生20人ほどが通う。昼と夜の部で開設しており、利用日は自由だ。予約は利用したい日の朝まで受け付けている。

 スポンサー企業の支援を得て運営し、利用者から1回あたり最大2千円を受け取るが、家庭の経済状況に応じて料金は変わり、無償で預かる子どももいる。

 開設の背景には、シングルマザーとして3人を育てた柿木さんの経験がある。長女が中学2年だった8年前。夜遅くに仕事に行こうとする柿木さんの袖を、「寂しいから行かないで」と長女が引っ張った。当時長男と次男は離れて暮らしていて、一人で家に残る長女の苦痛に初めて気付いた。

 「母子家庭の力になりたい」との思いは強く、カウンセラーを配置し子どもだけでなく保護者の相談にも乗る。「子どもの将来が心配」といった悩みにもできるだけ寄り添う。繁華街に開所したのも、飲食店で夜遅くまで働く母親の送迎の負担を減らしたかったからだ。

 母子家庭で困窮する多くの人がスクールを頼る。柿木さんは「ここがもう一つの居場所になれば」と願いを込める。

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