「クリミアのことを忘れないで」。2014年にロシアが併合したウクライナ南部クリミア半島からの避難者を中心とする報道機関「クリムメディア」が、クリミア支配の実態やウクライナ侵攻の戦況を報じ続けている。昨年入社した記者は「現地の状況は自由とは言えず、実態を知ってほしい」と訴えている。
首都キーウ(キエフ)に拠点を置く同社は併合後に活動を本格化し、インターネットの動画ニュースを中心に活動。半島内の情報提供者を通じた報道に強みを持ち「学校で強制的にロシア国歌を歌わされている映像」などを入手し伝えてきた。
記者歴2年目のエディエ・オスマノワさん(27)は併合後の15年に家族とキーウに避難した。音楽教師などの職を転々とした後、動画撮影や編集の担当として入社した。
クリミアに隣接する南部ヘルソン州に赴いた際、道路標識に故郷の地名を見つけて「ホームシックになった」。20年に亡くなった祖父の葬式には参列できなかったという。激戦地での取材も多いが、被害状況を「世界に伝えたい」と前を向く。(キーウ共同)