石川県能登地方を襲った豪雨で安否不明となり遺体で見つかった輪島市久手川町の中学3年喜三翼音さん(14)の葬儀には12日、多くの親族や同級生らが駆け付けた。「翼音は胸の中で生きていく」。突然の別れに悼む声はやまなかった。
「守ってあげられなくてごめんね」。叔母の松本志穂理さん(34)は涙ぐむ。翼音さんが「しーちゃん」と呼ぶ間柄で、「娘のようだった」。
おしゃれに興味を持ち始めた翼音さんにあげたヘアブラシや服、過去にプレゼントした財布も捜索で発見され、「ずっと大事に使ってくれていた」と実感した。遺体発見時に身につけていたジャージーも松本さんが「喜三」と手書きしたお下がりだった。「それが(身元確認を)早めてくれたのかな」とつぶやいた。
同級生も思い出が尽きない。絵が得意な翼音さんは体育祭に向け、赤組の旗に大きなタコの絵を描いたという。小1から友人の女子生徒(14)は「学校を休んでいるだけのような気がして、今も信じられない」と涙を拭った。