台湾行政院(内閣)から外国人としては異例となる政務顧問に任命された野崎孝男氏(50)が23日、熊本市で共同通信などのインタビューに応じた。半導体受託生産の世界最大手、TSMCの熊本県進出で、地域住民との摩擦が一部で生じているとの認識を示し「台湾政府が日台友好的な活動に力を入れなければいけない」と語った。
野崎氏はTSMC進出による地域への影響を調べる目的で熊本を訪問した。調査では地域住民が経済効果を受けられていないといった不満や、交通渋滞が悪化しているといった苦情が聞かれたという。野崎氏は「リスクのマグマがたまっている。事業成功の鍵は地域の理解だ」と述べ、問題解消に取り組む考えを示した。
一方、台湾の郭智輝経済部長(経産相)が熊本県の可能性が高いとしている、半導体など有力産業のサプライチェーン(供給網)の海外進出構想に関し、課題は「人材確保だ」と語った。
野崎氏は東京都練馬区議を経て、台南市でラーメン店を経営。2016年に市都市外交顧問に起用され、今年8月から台湾行政院の政務顧問。