日本の西洋美術史研究の第一人者で、理知的で明快な美術評論で知られた東京大名誉教授の高階秀爾(たかしな・しゅうじ)さんが17日、心不全のため死去した。92歳。東京都出身。葬儀は家族で行った。お別れの会を開く予定。
1953年東京大卒。フランスに留学し、西洋近代美術史を専攻。帰国後、国立西洋美術館勤務などを経て、79年東京大教授に就いた。退職後、国立西洋美術館や岡山県の大原美術館の館長、日本芸術院長などを歴任した。
豊かな教養と優れた感性で、ルネサンスから近現代までの西洋美術を研究。ロングセラーとなった「名画を見る眼」や「近代絵画史」など入門書の執筆に加え、留学時代から晩年まで、新聞や雑誌の寄稿を通じて同時代の美術を精力的に批評し、美術の魅力を多くの人に伝えた。明治の洋画家高橋由一の再評価など、近代日本美術の研究でも業績を残した。
著書に「ルネッサンスの光と闇」「ピカソ 剽窃の論理」「日本近代美術史論」など多数。2001年に設置された文化審議会の初代会長や、京都造形芸術大大学院長も務めた。