戦時中の水没事故で朝鮮人を含む183人が犠牲になった山口県宇部市の海底炭鉱「長生炭鉱」で、遺骨回収に取り組む地元市民団体が26日、坑道内部の本格調査前に関係者へ坑口を見せようと、韓国在住の遺族らを招待して現地で追悼集会を開いた。
炭鉱の入り口だった坑口は市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」の調査で9月に見つかった。集会には日韓の遺族計18人が参加。調査の概要を説明するとともに、坑口の前に祭壇を設け犠牲者を悼んだ。遺族が「お父さん、私が来ました」と坑口に韓国語で呼びかける場面も見られた。
日本人遺族の常西勝彦さん(82)は「水の中の父と再会したい」と涙ながらに語った。今月末にもダイバーが潜水調査する予定で、団体共同代表の井上洋子さん(74)は「調査で一片でも遺骨を見つけたい」と話した。
長生炭鉱では1942年2月に海水が流れ込む事故が発生。朝鮮人と広島や沖縄出身などの日本人が死亡した。