トップを代えて刷新感を演出し、野党との論戦を経ずに衆院選に突入、そして勝利する―。自民党が当初描いていたとされるシナリオはもろくも崩れ去った。専門家は「新しい顔」である石破茂首相の変節に、有権者がノーを突き付けたと分析した。
支持率の低迷にあえいでいた岸田文雄前首相は8月14日、「政治とカネ」問題の責任を取るとして、総裁選への不出馬を表明した。
裏金事件を受けた派閥解消の影響で、総裁選には40代の若手から現職の幹事長、女性閣僚ら多彩な顔ぶれが立候補。有権者の関心の高まりに、同時期に代表選を実施した立憲民主党から「総裁選にメディアジャックされている」(野田佳彦代表)と、埋没を危惧する声が上がるほどだった。
その総裁選で当初から最右翼とされていた石破氏は解散時期を「予算委員会で政権が何を考え、目指しているかを示した段階」と説明していた。
ところが、首相に就任すると「石破カラー」は鳴りを潜めた。