「毎日、手軽に使える製品を作りたい」。家電機器メーカーのカドー(東京)が昨年12月に発売した布団乾燥機「フェーン001」が好評だ。商品開発を担当するカドーの喜内一彰(きない・かずあき)さんにヒットの裏側を聞いた。(共同通信=増井杏菜記者)
スティック形状でそのまま布団に差し入れ、ワンタッチで操作できるのが特徴。販売数量は計画の3倍で推移している。販売価格は2万4200円(2024年9月時点)。
暮らしの課題を社内で議論したところ「布団乾燥機は使うと心地よいが、袋に入れたり専用マットを準備したりと面倒なので活用しない」という意見が出た。「日常的に乾かしたり温めたりできる商品を考えました」
縦31.5センチ、直径4.9センチと小型に仕上げた。布団の端に差し込み、電源を入れれば10分間、温風が噴出する。ボタン一つで操作できる乾燥やダニ対策、消臭ができる送風の四つのコースを用意した。
小型化と高性能の両立には苦心した。1分間で10万回転する小型モーターと金属製の羽根を搭載。「風量や風圧、風速を何度も調整し、ダブルサイズの隅々まで温められるように工夫しました」
本体を直接布団に入れることも踏まえた安全性を追求。「防火のほか、ペットの尿がかかることなども想定し、10種類の安全装置を付けました」
顧客から「面倒ではなくなった」「足元まで温まる」という声が上がる。「静音モードも付けた改良品も提供したい」。喜内さんは神奈川県出身、48歳。