飲酒や速度違反といった悪質な運転で人を死傷させた際に適用される自動車運転処罰法の「危険運転」の要件を巡り、法務省の有識者検討会が議論を進めている。規定が曖昧なために適用が限定的との見方もあり、交通事故遺族らは見直しを切望。要件の明確化も議論の俎上に載るが、慎重意見も根強く着地点は見通せない。
危険運転の対象は、飲酒や赤信号無視、高速度、あおり行為など。法定刑の上限は懲役20年で、事故の大半で適用される同法の「過失運転」の懲役7年と大きな差がある。
検討会では、速度に関し基準を設けるべきだとの意見が複数上がった。設定した速度を上回れば違反とし、下回った場合は個別事情で判断する。だが、道路の形状や交通状況は千差万別で「速度のみで実質的危険性を推し量れない」との慎重論も出た。
飲酒に関しては、体内のアルコール濃度で一定の数値を設ける案が浮上。ただ「個人差をしのぐような数値基準は設定できない」との消極意見も。
結論が見通せないまま、今月13日の検討会では取りまとめの協議に入る予定だ。