性同一性障害の人の性別変更を巡り、手術を事実上求める生殖能力要件を最高裁が違憲と判断した昨年10月以降、手術せずに性別を変えた人が少なくとも33人いることが3日、最高裁の実態調査で分かった。違憲判断から約1年。これまで当事者側の公表などで個別事例は明らかになっていたが、まとまった数字が判明するのは初めて。実際に手術なしで変更した人は「選択肢が広がった」と歓迎の声を上げる。
調査は、性別変更の審判をする各地の家裁を対象に実施され、今年1~9月に変更が認められた人は790人いた。うち33人は審判書の記述から手術を受けていないことが明確で、実際にはさらに多い可能性もある。性別変更の件数が1~9月のペースで続けば、年末までに推計で1053人が認められ、近年の年間600~900人台を上回る。
性同一性障害特例法は(1)18歳以上(2)婚姻していない(3)未成年の子がいない(4)生殖機能がない(5)変更後の性器部分に似た外観を持つ―の要件を全て満たせば性別を変更できると規定している。