働く高齢者の増加に伴い、労働災害も増えているとして、厚生労働省が企業に対し、労災防止対策を努力義務として課す方向で検討していることが6日、分かった。労働安全衛生法の改正を念頭に、職場環境の改善や作業内容の見直しなどを企業に促す。
厚労省によると、雇用者全体に占める60歳以上の労働者の割合は2023年で18.7%だった一方、休業4日以上の労災に遭った労働者に占める割合は29.3%と高かった。労災の発生率が30代と比べて2倍近いというデータもある。
同省は20年に高齢者の労災防止に関するガイドラインを作成。手すりの設置や段差の解消、警報音を聞き取りやすい音域にするといった職場環境の改善とともに、勤務時間の工夫やゆとりのある作業スピードに見直すことなどを進めるよう企業に求めている。しかし、厚労省の調査では、高齢者の労災防止対策に取り組んでいるとした企業は少なかったという。