外為法違反罪での起訴が取り消された「大川原化工機」で顧問を務め、勾留中に胃がんが判明し死亡した相嶋静夫さん=当時(72)=の遺族が、拘置所で適切な医療が受けられなかったなどとして国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(木納敏和裁判長)は6日、請求を退けた一審判決を支持し、遺族の控訴を棄却した。拘置所側の対応は医学的に合理性があったと判断した。
判決は、拘置所側が相嶋さんを移送する外部の病院名や移送時期を説明しなかったことについて「身柄奪取の恐れもあり、説明義務違反とは言えない」と指摘。一方で、外部病院で専門医の治療が受けられることを相嶋さんが理解していなかったとし、「このような事態を防ぐため(国側が)今後対応を検討することが望まれる」と付言した。
遺族側は拘置所の医師が適切な診断をし、早期に移送されていれば、より長く生きられた可能性が高いと主張。判決は、医師が輸血や検査を行い、外部病院と診療調整をしていたとして、「義務違反はない」とした。