会計検査院は6日、官庁や政府出資法人を調べた2023年度の決算検査報告を石破茂首相に提出した。検査で税金の無駄遣いを指摘したり改善を求めたりしたのは全体で345件、総額約648億6千万円に上った。新型コロナウイルスと物価高騰の対策に関する政策に重点を置き、補助金や給付金事業での不備を指摘した他、国の補正予算で多額の繰越金があった状況も明らかにした。
検査報告では、法令違反や不適切な予算執行と認定した「不当事項」を計294件(指摘金額計約77億3千万円)挙げた。中小企業を支援する国の「IT導入補助金」での不正受給や、従業員の職業訓練などに必要な費用の一部を国が助成する「人材開発支援助成金」での不適切な支出などが確認された。
新型コロナやインフルエンザ対策で病床確保や発熱外来の態勢を整えるなどした医療機関を支援する交付金では、虚偽の内容を含む申請など約21億9千万円分の過大交付を指摘した。
総額約648億6千万円のうち、省庁別では農林水産省の計約353億4千万円が最多だった。