広島、長崎の被爆者は、米大統領選で勝利した共和党のトランプ氏に対し、核兵器廃絶に消極的なのではないかとの懸念を示しつつ「核兵器のない世界を目指してほしい」と訴えた。
広島県原爆被害者団体協議会(被団協)理事長の箕牧智之さん(82)は「トランプ氏は核があるから世界は安定しているとの考えしかないのでは」と現状の核抑止から脱却する困難さを口にした。「これから米国がどういう方向に進むか見当もつかないが、被爆者としてはあくまで核なき世界を目指してほしい」と話した。
日本被団協は10月にノーベル平和賞受賞が決定。もう一つの広島県被団協の理事長佐久間邦彦さん(80)は「これからの世界の進み方は核軍縮だとより鮮明になった」と述べ、トランプ氏には広島や長崎を訪れて被爆者の声に耳を傾けてほしいと願った。
長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会議長の川野浩一さん(84)は「保守的で好戦的な人物という印象。これまでの言動から核をなくそうという姿勢はうかがえず、平和主義や核廃絶の道のりが後退してしまわないか」と危惧した。