【ベルリン共同】東西冷戦の象徴だったベルリンの壁が1989年に崩壊して9日で35年を迎えた。89年末の冷戦終結宣言や90年の東西ドイツ統一につながる歴史的転機だった。ショルツ首相は9日公開のビデオ演説で「勇敢な市民が『鉄のカーテン』を打ち破った」とたたえた。ウクライナや中東の情勢に触れ、平和や自由、民主主義のために欧州が結束する重要性を訴えた。
ベルリンでは9日、壁の跡地で記念式典が開かれた。ベルリンのウェグナー市長は「自由や民主主義は当たり前にあるものではない。守っていかなければならない」と訴えた。シュタインマイヤー大統領も出席した。
欧州には中東などから移民や難民が流入し、反移民の右派や極右が台頭、新たな分断が進む。ドイツでは、社会主義体制だった旧東ドイツ地域の経済情勢が今も旧西ドイツ地域に追い付けずにいる。給与格差など旧東地域の人々の不満は根強く、9月の州議会選では排外主義を掲げる右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が伸長した。