財務省は11日、公立学校教員の給与として残業代の代わりに上乗せする「教職調整額」を、現在の月給4%相当から段階的に10%に増やす案を公表した。授業以外の業務削減を条件とし、賃上げと働き方改革を同時に進める。順調ならその後、所定外の勤務時間に応じて残業代を支払う制度への転換を検討する。ただ文部科学省はあらかじめ決まった額を支給する現行制度が合理的としており、溝は大きい。
教職調整額は教員給与特別措置法(給特法)に基づく制度だ。財務省案は10%に達する時期を2030年度と見込むのに対し、文科省は教員のなり手不足の深刻化を理由に、早ければ26年に一気に13%に増やすよう求めている。両省は年末の25年度予算編成に向けて調整する。まとまらなければ教職調整額の増額自体を見送る可能性もある。
財務省案は、業務削減の対象として部活動や保護者への対応を明示したほか、勤怠管理の徹底も求めた。働き方改革の進捗を年度ごとに点検し、調整額を引き上げるかどうか全国一律で決める仕組みで、一定の条件を満たさなければ見送るとしている。