【珠海共同】中国広東省珠海市で男が車を暴走させ35人が死亡した事件を受け、中国政府は治安対策強化に乗り出した。習近平国家主席は12日「社会の安定」を全力で守るよう指示。広東省トップは、市民のもめ事の解決を支援する方針を打ち出した。中国では無差別に市民を狙う事件が頻発しており、景気低迷の影響を指摘する声もある。
「集団で歩く人々に後ろから高速でぶつかっていった。恐ろしい光景だった」。事件当時、現場の体育施設に居合わせた女性は語った。集団で音楽を流して歩いていたため車の暴走に気づくのが遅れ、被害拡大につながったという。13日も花束を手向ける人が時折訪れたが、警察は取材を阻止した。
事件で拘束された62歳の男の動機は離婚後の財産分与の結果に対する不満だとされる。インターネットでは裁判所の判決への憤りだという見方も出ている。
広東省トップの黄坤明・同省共産党委員会書記は「家庭や町内のもめ事のほか訴訟や農地、金融、不動産などに関するトラブルを細かく調べ問題を取り除く」よう政府機関などに要求した。