ノーベル化学賞受賞者で島津製作所のエグゼクティブ・リサーチフェロー田中耕一氏が開発に携わった、分子をイオン化して質量を測る装置が、米国に本部を置く電気電子技術者協会(IEEE)の「マイルストーン賞」に認定され、同社は15日に京都市の本社で記者会見を開いた。田中氏は「感慨深い」と笑顔で話した。
この賞は誕生から25年以上経過した重要な技術などに贈られる。対象となったのは、同社が1988年2月に発売したレーザーイオン化質量分析計「LAMS―50K」。田中氏のノーベル化学賞受賞につながった「ソフトレーザー脱離イオン化技術」を応用した世界初の製品だという。
「ソフトレーザー脱離イオン化技術」は、タンパク質などの巨大分子を壊さずにイオン化し、質量を分析できる。病気の早期発見や新薬開発などに活用されている点も評価された。
装置は5人のチームで開発した。田中氏は「自身の貢献はごく一部」と謙遜しながらも最先端の研究開発ができたと振り返り、チームの功績を喜んだ。