米軍と海上自衛隊が共同使用する厚木基地(神奈川県)の騒音で健康被害が生じているとして、周辺住民らが国に夜間・早朝の飛行差し止めや損害賠償などを求めた第5次訴訟の判決で、横浜地裁は20日、自衛隊機と米軍機の飛行差し止めを認めなかった。国には計約59億円の損害賠償を命じた。
判決理由で岡田伸太裁判長は、自衛隊機の飛行には「高度の公共性、公益性」があるとし、米軍の空母艦載機も岩国基地(山口県)への移駐で被害が相当程度軽減されていることなどから「社会通念に照らして著しく妥当性を欠くとはいえない」と差し止め請求を退けた。
米軍機については、国が制約する権限がないなどと判断した。
一方、基地周辺の住民らの被害は軽度とはいえないとし、騒音の程度に応じて過去分の損害賠償を一部命じた。将来分の請求は認めなかった。
大きな騒音を引き起こすとされた米軍の空母艦載機は18年3月、厚木基地から岩国基地への移駐が完了しており、その後の被害への評価が焦点となっていた。