厚生労働省が22日公表した人口動態統計の速報値によると、今年1~9月に生まれた赤ちゃんの数(出生数)は、前年同期比5.2%減の54万167人だった。速報値には外国人を含む。少子化に歯止めがかからず、外国人を除いた出生数は通年で初めて70万人を割る公算が大きい。
新型コロナウイルス禍で結婚する人が大幅に減り、価値観の多様化で未婚傾向が進んだことが影響した。物価高などで子育てへの経済的不安が高まったことも背景にあるとみられる。
2023年通年の出生数は速報値で75万8631人。外国人を除いた「概数」は72万7277人で過去最少だった。
今年上半期(1~6月)の概数は、前年同期比6.3%減の32万9998人だった。
人口減で働き手や消費者が少なくなれば、企業や自治体はサービスの維持が難しくなり医療や年金などの社会保障制度にも打撃となる。政府は「30年代に入るまでが少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンス」として「次元の異なる少子化対策」を推進。児童手当や育児休業給付の拡充を打ち出した。