世界の物流の要衝であるスエズ運河やパナマ運河を利用する船舶が激減していることが、国連貿易開発会議が25日までに発表した報告書で分かった。中東情勢の悪化や地球温暖化による干ばつが原因。船舶が迂回を余儀なくされ運賃上昇につながるなど、サプライチェーン(供給網)に重い負担となっているという。
日本の海運大手にとって中東のスエズ運河は欧州との物流の重要な航路。中米のパナマ運河も米国からの液化天然ガス輸送などに活用されており、大きな影響を受けている。
報告書によると、スエズ運河では今年6月に通過した船舶の総トン数が昨年12月比で70%以上減少した。パレスチナ自治区ガザでイスラエル軍と戦闘を続けるイスラム組織ハマスを支援するイエメンの親イラン武装組織フーシ派が、運河につながる紅海で商船を攻撃した影響が出た。
一方でアフリカ南端の喜望峰に着く船舶は90%近く増加。喜望峰沖を通るルートはスエズ運河経由より航海期間が1週間程度延びるとされる。