厚生労働省は25日、働いて一定の収入がある高齢者の厚生年金を減らす「在職老齢年金制度」の対象者を縮小する案を公表した。満額受け取れる人を増やす。減額ラインとなる賃金と年金の合計額を現在の月50万円から62万円や71万円に引き上げる。「働き損」を解消して高齢者の就労を促し、人手不足対策につなげる。全ての国民が受け取る基礎年金(国民年金)の給付水準を底上げする案も提示。厚生年金の積立金を活用し、2036年度以降の給付水準を現在の見通しより3割ほど改善させる。
社会保障審議会の部会に示した。与党との協議を経て、年金制度改革の関連法案として来年の通常国会に提出を目指す。
在職老齢年金は、賃金と厚生年金(基礎年金部分除く)の合計が基準額を上回った分の半額を減らす仕組み。部会では基準額を(1)62万円に引き上げ(満額受給の高齢者20万人増)(2)71万円に引き上げ(同27万人増)(3)制度廃止(同50万人増)―3案を提示した。
働きながら年金を受給する65歳以上は22年度末時点で約308万人。