ブタの臓器を人間に移植する「異種移植」を巡り、拒絶反応を抑えるよう遺伝子改変したブタの腎臓をサルに移植する研究を始めたと、鹿児島大などのチームが25日、発表した。移植した腎臓が正常に機能するかなどを検証し、人への応用に進めるためのデータを集める。
鹿児島大の施設で、両腎臓を摘出した8キロのカニクイザルに、生後2.5カ月で9キロのブタの腎臓1個を24日に移植した。京都府立医大の医師らが執刀した。
手術後にサルは尿を排出し、腎臓での血流も確認されるなど状態は良好という。本年度中に最大8匹のサルに移植予定で、免疫抑制剤の投与方法などを検証する。
研究代表者の佐原寿史・鹿児島大教授は「サル移植研究を着実に進め、異種移植の実用化につながる道筋を切り開きたい」とコメントした。
ブタは明治大発のベンチャー企業「ポル・メド・テック」(川崎市)が米国から細胞を輸入して作製。拒絶反応が起きないよう10種類の遺伝子を改変したほか、ブタ特有のウイルスの遺伝子を不活化するなどした。現在13匹を飼育中という。