中国の地方財政の困窮が深まっている。不動産バブルが崩壊し、主要な歳入源の土地売却収入が激減しているためだ。帳尻を合わせるため公共サービスの停止や罰金の徴収強化に乗り出し、市民生活にも影響。右肩上がりの住宅価格を前提にした「錬金術」は消え、習近平指導部は抜本改革を迫られている。
太湖のほとりの風光明媚な水郷として知られる江蘇省無錫。北京まで続く世界遺産「京杭大運河」に面した住宅用地の入札が4月に行われた。落札したのは地元政府傘下の「融資平台」と呼ばれる投資会社で、設定された最低価格約10億元(約212億円)での落札だった。ところが11月に訪れると、密集住宅を立ち退かせた広大なスペースは整地もされず、雑草が生い茂っていた。
地元住民は「これ以上建てても誰が買うのか」と冷ややかだった。
中国で都市部の土地は全て公有だ。地方政府が土地使用権を売却し、業者が住宅を建てて販売する。だが市況の逆回転が始まると住宅需要は激減し、経営不振に陥った開発業者の土地購入意欲も一気にしぼんだ。(無錫共同)