知的障害やその疑いのある受刑者への処遇の一部を社会福祉法人に委託し、出所後を見据えた手厚いサポートをする長崎刑務所のモデル事業の中間報告会が3日、開かれた。開始から2年間の出所者のほとんどが居住先を確保でき、仮釈放率も高水準だった。自己肯定感の高まりも確認でき、法務省は一定の成果があったとしている。
法務省の2024年調査によると、全国の受刑者のうち知的障害やその疑いがある人は1543人。出所後すぐの再犯事例も少なくなく、入所後の指導や社会復帰支援が課題だった。
そこで長崎刑務所では、知的障害者への先駆的な支援で知られる長崎県諫早市の「南高愛隣会」に一部業務を委託。22年10月から約50人を上限に、特性の見極めや独自のプログラムでの処遇、地元の障害者職業センターとの連携といったモデル事業を始めた。
法務省によると、今年9月末までに事業を経て出所した28人のうち、居住先を確保できたのは27人(96%)、仮釈放者は19人(67%)だった。