日本原水爆被害者団体協議会(被団協)へのノーベル平和賞授賞式が開かれるノルウェーの首都オスロには、核兵器廃絶署名を国連に届ける活動をする「高校生平和大使」4人も渡航し、現地の高校で「出前授業」をする。大使の中で唯一、被爆地でない熊本から参加する高校生は「被爆地出身でなくても、思いがあれば誰でも活動できると伝えたい」と意気込む。
息を引き取った幼子を背負い、男児が口を結んで直立していた。私立九州学院高(熊本市)2年島津陽奈さん(16)は、小学6年の修学旅行で訪れた長崎原爆資料館で見た写真が強く印象に残った。原爆投下後の長崎で撮られたとされる「焼き場に立つ少年」だ。「これからどうしたらいいか分からなかったんだろうな」。胸が痛んだ。
この経験が平和を強く意識するきっかけになった。歴史や被害を伝える必要性を実感した。
「私たちが被爆者の証言を聞ける最後の世代と言われている。語り継がないといけない」。今年6月に活動を始めて以降、熊本県内の小中学校で証言を伝えてきた。オスロで話を聞いた若者にも思いを周囲に広めてほしいと願う。