【ワシントン共同】米国で乳牛の感染が相次ぐ高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)は、たった一つの遺伝子変異が加わるだけで人の細胞への結合能力が高まることが分かったと、スクリプス研究所のチームが5日、米科学誌サイエンスに発表した。
人から人へ効率的に広がるには、空気感染しやすくなるなど他の条件も必要。だが今回特定した変異は流行のリスクを大きく高めるもので、チームは「監視を続ける必要がある」と警告した。
チームは、鳥のウイルスのタンパク質にいくつ変異が起きると人の細胞に結合するようになるか調べるため、テキサス州の乳牛に感染したウイルスに変異を導入。タンパク質を構成するアミノ酸の1個が変化するだけで、結合相手が鳥の細胞から人の細胞にがらりと変わったという。
疾病対策センター(CDC)によると、米国では3日までに15州の695カ所で乳牛が感染している。農場の猫や鶏のほか、搾乳作業などで牛の体液と密に接触した労働者35人も感染した。