ホンダと日産自動車が経営統合に向けて協議を始める。統合が実現すれば、コスト削減のため製造部品の共通化を進める可能性が高い。延べ約3万5千社に及ぶサプライチェーン(供給網)は再編に向かい、淘汰される下請け企業が出てくることも考えられそうだ。
帝国データバンクによると、サプライチェーンの企業数は、ホンダが約1万9千社、日産は約1万6千社に上る。総取引額はそれぞれ4兆6千億円程度と巨額だ。部品が共通化されれば取引が減少、もしくは終了する下請けが現れることも想定される。
電動化の流れが加速する自動車業界で、従来のエンジン車用に部品を供給する下請けは既に「ストレスの多い状況」(帝国データ担当者)が続いている。こうした動きに加え、両社が統合すれば、数年後に発売する新車には共通部品の採用点数が増えるとみられ「下請けは少し混乱するかもしれない」(同)。
一方で、部品の共通化は現時点で判然としない部分も多く、ホンダと日産には統合後の姿を明確にする丁寧な説明が求められそうだ。