【ワシントン共同】米食品医薬品局(FDA)は20日、人の細胞を培養してつくったけがの治療用血管を初めて承認したと発表した。戦争や交通事故などで手足の動脈を損傷した患者に移植して血流を復活させ、切断を防ぐ狙い。製品は細胞を除去してタンパク質の骨組みだけにしてあり、拒絶反応を起こさず誰でも使える。緊急時に備えて冷蔵保存もしておける。
バイオ企業ヒューマサイトが開発した。臨床試験ではロシアの侵攻に抵抗するウクライナの負傷兵も使用した。患者自身の静脈を採取して使う方法があったが、時間がかかるのが難点だった。人工材料の血管は感染リスクも高かった。
新たな製品は人の細胞を培養して管の形にし、最後に細胞を除去して強度のある骨組みを残したもの。移植すると患者自身の細胞が隙間に入り込み、血管が再生する。
試験で移植した54人のうち36人(67%)は30日後も追加の手術が必要なく血流を保つことができた。8人(15%)は3年後までに手や足の切断を余儀なくされた。血栓などの副作用もみられた。