厚生労働省は24日、年金制度改革の報告書案を社会保障審議会の部会に示した。部会は大筋で了承した。厚生年金の積立金を使って全ての国民が受け取る基礎年金(国民年金)を底上げする改革は、経済や雇用の停滞が続くことを条件に行うと位置付けた。年金財政が悪化し、年金の給付水準が著しく低下するのを避けるためだ。与党と調整し、来年の通常国会への法案提出を目指す。
報告書案には、会社員に扶養されるパートらが厚生年金に入る年収要件(106万円以上)を撤廃する方針も盛り込んだ。働き控えを招く「106万円の壁」とされてきた。加入者を増やして老後の給付を手厚くする。
底上げは、基礎年金だけに入る自営業者らが老後に低年金となるのを防ぐ狙いがある一方、財源の半分を賄う国庫負担が兆円単位で必要になる。
年金には財政が安定するまで給付水準を抑制する「マクロ経済スライド」という仕組みがある。厚労省は今夏、複数の経済パターンで年金財政を検証した。