海上保安庁機との衝突事故で炎上した日航機からは、379人全員が短時間で脱出した。運輸安全委員会の経過報告によると、日航機は海保機に乗り上げ、胴体下部をこすりながらも通過する形となり「致命的」な損傷を避けられた。客室乗務員や乗客が冷静に行動したことも要因だとしている。
海保機と衝突した際、日航機は両翼のエンジンなどを損傷。主脚が折れなかったため横転せずに走行し、滑走路を外れて草地で停止した。だが、火災が発生し、右のエンジンは止まらないままだった。
機内の煙と刺激臭が濃くなる中、乗務員は乗客を落ち着かせ、火災が及んでいない最前方の両側のドアから脱出できると判断。スライドでの避難を始め、他のドアを乗客が開けないよう、離れずに注意を払った。
その後、状況が切迫してきたため、乗務員が自らの判断で最後尾の左側ドアも開け、機体の停止から約10分で脱出を完了させた。乗客も冷静さを保ち、周囲に追随して脱出しようとせず、自席にとどまって指示を待つ人もいた。