公正取引委員会は26日、俳優や歌手ら芸能人と芸能事務所の取引に関する初めての実態調査の結果を発表した。移籍を要望したら活動できなくなると脅迫されたり、独立後に出演できないようテレビ局に圧力をかけられたりする事例を確認。こうした行為は独禁法が禁じる優越的地位の乱用や取引妨害などに当たる恐れがあると指摘し、2025年に指針を策定して改善を促す。
旧ジャニーズ事務所が「SMAP」の元メンバーをテレビに出演させないよう圧力をかけた疑いがあり、公取委は19年に事務所を注意するなど業界の動向を注視してきた。
調査は24年4~11月に俳優や歌手、事務所、テレビ局、レコード会社の関係者ら計95人から聞き取った。2628の事務所にアンケートを送り、810の事務所から回答(回答率30.8%)を得たほか、公取委のホームページの窓口に901人から情報提供があった。
具体的な事例として、事務所に退所の意向を伝えると「もし辞めたらつぶすぞ。実質引退になる」と脅されたという。高額な移籍金を要求されたケースもあった。