1966年の静岡県一家4人殺害事件で袴田巌さん(88)の再審無罪が確定したことを受け、最高検は26日、捜査や公判に関する検証結果を公表した。県警の取り調べが連日長時間に及ぶなど任意性を欠いていたのに、検察も袴田さんを犯人と決めつけて自白を求めるなど問題があったと指摘。県警も同日、検証結果を公表し、取り調べは「不適正であったと言わざるを得ない」とした。
最高検は、この日公表した計87ページの「検証結果報告書」で、結論が出るまで長期に及んだ2度の再審請求審における対応についても検討。第2次再審請求審では、袴田さんの取り調べを録音したテープといった当初存在しないとした証拠が後に見つかるなど「捜査資料や証拠の保管、把握が不十分だった」と認めた。
一方、2014年の静岡地裁の再審開始決定を不服として、静岡地検が即時抗告したことには「誤った判断を是正するために必要で、(審理を)不当に長期化したとは認められない」とした。
静岡地裁は今年9月の再審公判の判決で、袴田さんの無罪を言い渡した。