死刑囚に対する刑の執行が2年連続で0件となることが27日、分かった。法律の規定で年末の29日以降と土日祝日の執行はできない。1990年前後の3年超にわたる未執行以来、異例の長期となる。静岡県一家4人殺害事件で確定死刑囚だった袴田巌さん(88)の再審無罪や、元法相の失言が影響したとみられる。法務省によると、今月末時点の死刑囚は106人となる見通し。
直近の執行は22年7月で、東京・秋葉原で08年に起きた無差別殺傷事件の加藤智大元死刑囚だった。22年11月、当時の葉梨康弘法相が会合で「法相は死刑(執行)のはんこを押す。ニュースのトップになるのはそういうときだけという地味な役職だ」などと失言、数日後に更迭された。
翌23年3月には袴田さんの再審開始が決定。同年10月に再審公判が始まり、今年10月に再審無罪が確定した。法務省関係者によると、元死刑囚への無罪判決は内部でも衝撃が走っており、執行には慎重にならざるを得ない状況とみられる。
年末時点での死刑囚の数は近年、100人超で推移し、昨年から1人減った。