茨城県東海村の日本原子力研究開発機構発のベンチャーが、電気自動車(EV)の使用済み蓄電池からレアメタル(希少金属)を効率よくリサイクルする仕組みの確立を目指している。原子力研究から生まれ、低コストで環境に優しい新技術を使った手法だ。
ベンチャーは、2021年に設立されたエマルションフローテクノロジーズ。同社最高技術責任者は元々、原子力機構の研究者で、液体から薬剤を使って特定の元素を分離する技術を専門としてきた。
使用済み核燃料に含まれる元素を取り出す研究の中で、水と油が短時間で細かく混ざりながら分離する現象を発見し、新技術の開発に結びつけた。
リサイクルは、粉状にしたEV用のリチウムイオン電池を液体に溶かし、薬剤を加えた上で専用装置にかけてレアメタルを取り出す流れだ。
装置のサイズや所要時間を従来の5分の1に抑え、運用コストも約80%削減可能だという。これまでEV用の電池約80キロのうちレアメタル約50キロを回収した実績があり、再利用しても採算が取れるとしている。