【北京共同】中国の習近平国家主席が「1強体制」を固める中、軍機関紙、解放軍報が「集団指導体制」や「党内民主」の堅持を訴える論評を今月、相次ぎ掲載し、内外に波紋が広がっている。中国軍は習氏が主導する汚職取り締まりで幹部が次々と失脚。論評掲載は習氏への権力集中に挑戦する動きの表れではないかとの見方もある。
共産党は建国の父、毛沢東への個人崇拝が大規模政治運動「文化大革命」を招いたとの反省から、重要政策を最高指導部メンバーの話し合いで決める集団指導体制を取ってきた。だが、2012年に党総書記に就任した習氏は汚職を徹底して取り締まる反腐敗運動を展開し、政敵を摘発。自らに権力を集中させ、集団指導体制は形骸化した。
9日付の解放軍報は「集団指導体制を率先して堅持せよ」と題する論評を掲載。集団指導体制を提唱した最高実力者、故トウ小平氏の「わが党内では重要な問題について個人ではなく集団によって決定するのが伝統だ」との発言を引用し「党の指導は集団指導であり、1人や2人による指導ではない」と指摘した。