【ワシントン共同】米紙ワシントン・ポストは5日付紙面で、バイデン米大統領が日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収禁止を命じる前に、複数の米政府高官が買収禁止の立場に反対や懸念を示していたと報じた。是非を巡り政権内で意見が割れていたことが浮き彫りになった。
同紙によると、ブリンケン国務長官やイエレン財務長官に加え、キャンベル国務副長官、エマニュエル駐日大使らが数カ月間、政権内で反対、懸念の意思を示していた。
イエレン氏は安全保障上のリスクを示す明確な証拠がないまま全面的に買収を却下すれば、審査した対米外国投資委員会(CFIUS)の政治的中立性を損なう恐れがあると表明。司法省は、買収反対が訴訟を招く可能性があると警告した。
禁止命令の前日の2日にホワイトハウスで開かれた会議では、サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)らが、条件付きで買収を阻止する案を提示。日鉄が安保上のリスクを抑えるさらなる提案をする余地を残し、トランプ次期政権に判断を先送りするものだった。