第2次大戦中から半世紀にわたって旧ソ連の支配下にあったリトアニアで反体制派と見なされ、シベリアなどに抑留された人々の歴史を伝える企画展が東京都内で開かれている。19日まで。抑留者の大半が女性や子どもで、抑留先で死亡した人もいた。協力した在日リトアニア大使館はソ連の後継国ロシアのウクライナ侵攻を念頭に「他国を弾圧する歴史を繰り返すな」と訴えている。
企画展は「シベリアからの生還 リトアニア人たちの流浪物語」と題され、平和祈念展示資料館(新宿区)で開催。リトアニア大使館のガビヤ・チェプリョニーテ文化担当官は、自身の親族も抑留を経験した。「リトアニアでは、どの家族にも必ず抑留者がいて、集団的なトラウマになっている」と話す。運良く帰還した人もソ連の秘密警察の監視下に置かれ、抑留の記憶を家族で語ることすらできなかったという。
バルト3国の一つリトアニアは40年にソ連に併合された。文化担当官によると、90年の独立宣言まで迫害が続き、現在の人口の1割に当たる約28万人が抑留された。(共同)