石破茂首相との面会に参加した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の幹部は、核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加や、国の援護区域外で長崎原爆に遭った「被爆体験者」への施策の充実を求めた。だが石破氏から回答はなかったといい、代表委員の一人、田中重光さん(84)は「ノーベル平和賞を受賞しても、一番変わらないのは日本政府。がっかりだ」と話す。
「援護に積み残しがあり、80年たっても解決していない問題がある」。被爆体験者問題に言及した田中さん。だが、被爆者7人の後に発言した首相は、この問題に触れなかったという。首相は「日本に核シェルターがない」との問題意識を口にしたといい、田中さんは「全く的外れ」「禁止条約の『き』の字も出てこなかった」と批判した。
事務局次長の和田征子さん(81)は「面会の実績をつくりたかっただけなのか」と厳しい見方。一方で「今まで被団協に振り向きもしなかったことを考えると、一歩ではある。引き続き国に働きかけていく」と語った。