昭和天皇の后で、2000年に97歳で亡くなった香淳皇后の生涯を記した「香淳皇后実録」が3月に編集を終え、25年中に公開される見通しとなった。宮内庁が08年から編さんを続け、約17年かけてまとめた。明治から平成の四つの時代を生き、戦後の新憲法下で「象徴」となった昭和天皇と歩んだ皇后の姿を知る史料となりそうだ。
香淳皇后は上皇さまの母、天皇陛下の祖母に当たる。宮内庁書陵部によると、実録は公的資料のほか、側近らの日誌、動静を伝える新聞記事などを基に編年体でつづった。戦中の皇居内の様子を香淳皇后の目線で記した箇所もあるという。分量は約1万2千ページだった昭和天皇実録の半分以下になる。
3月に校了し、数カ月で製本する。完成した実録は、天皇、皇后両陛下に奉呈される。出版は未定で、宮内庁ホームページでの公開を検討している。
香淳皇后は1903(明治36)年、当時宮家だった久邇宮家の長女として生まれた。24年に結婚し、大正天皇が亡くなった26年、昭和天皇の即位に伴い皇后となった。