【ワシントン共同=高木良平】第2次トランプ米政権の発足まで13日で1週間。トランプ次期大統領はデンマーク領グリーンランドの購入やカナダの吸収、中米パナマ運河の管理権奪還を主張し、同盟国・友好国にも矛先を向ける「どう喝外交」を展開、世界を動揺させている。国際的な影響力を増す中国やロシアへの対抗心も示しており、大国間の主導権争いが過熱しそうだ。
「中国やロシアの船が取り囲んでいる。自由世界を防衛しなければならない」。トランプ氏は9日、戦略的に重要な北極圏に大部分が位置するグリーンランドの周辺で中ロが活発に活動していると警戒感を示した。獲得のため軍事力の行使も排除していないが、デンマークは北大西洋条約機構(NATO)に加盟する米国の同盟国だ。
トランプ氏はNATO各国の国防費を国内総生産(GDP)の5%に引き上げるべきだと要求しており、譲歩を迫る交渉術の一環とみられる。ただ、欧州の同盟にひびが入ればロシアを利する。日米など他の同盟の抑止力低下も招きかねない。