北海道函館市の恵山岬付近でタンカー「さんわ丸」(3919トン)が座礁し、燃料の重油が流出した事故で、民間サルベージ会社が12日、潮が満ちる時間帯に合わせてえい航し、タンカーが現場を離れた。沖合で船体の状況を調べた後、函館港に向けてえい航し、早ければ13日朝に到着する。作業を見守る近隣住民からは安堵の声が上がった。
サルベージ船がタンカーに結ばれたロープを引っ張り、30分ほどかけて沖の方向にえい航した。
地元漁協の上見孝男組合長(76)は「神頼みしていたので、離礁して本当に良かった。ウニや海藻に被害がないか調査し、早く漁を再開したい」と話した。
函館海上保安部によると、タンカーを所有する愛媛県今治市の会社が作業を依頼。7日と10日にもえい航を試みたが、十分な浮力が得られず船体を引き出せなかった。12日朝までに燃料の重油や積み荷の軽油を抜き取るなどして重量を下げた。
タンカーは6日夜、北海道の苫小牧港から秋田県の港に向かう最中、海岸から約20メートル沖の岩場で座礁。8日には燃料の重油が流出した。