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和歌山県海南市を「鈴木さん」のふるさとに ルーツの地、姓を広めた一族の屋敷も

共同通信 2025年1月12日 18時4分

 全国的に人口が多い「鈴木」姓のルーツとされる「鈴木屋敷」がある和歌山県海南市。市などによると、平安時代末期に鈴木一族が熊野信仰を全国に広める拠点として屋敷を構えた。信仰と同時に鈴木姓も各地で広まっていったとされる。市は各地の「鈴木さん」を起点に交流人口を増やし、地域の活性化を目指そうと奮闘している。(共同通信=上原香廉)

 現存する鈴木屋敷の一部は江戸時代に建てられた。1940年代から空き家となっていたが、クラウドファンディングで寄付を募り、2023年に復元が完了した。海南市シティプロモーション課長宇尾崇俊さん(47)は「名字にちなんだ観光資源は全国的にもユニークだ」と説明する。

 21年からは「鈴木さん」対象の移住支援策も始めた。東京23区内に居住といった条件を満たしていると、海南市から1世帯当たり100万円の支援金が交付される。今年11月時点、移住を決意した鈴木さんは現れないものの、海外メディアが取り上げるなどPR効果は抜群だ。

 市は今後、鈴木グッズを製作し、ふるさと納税の返礼品にすることも検討している。宇尾さんは「鈴木姓の歴史を全国に知ってもらうと同時に、市民が地元を好きになるきっかけになれば」と意気込む。

 昨年11月には、鈴木屋敷の復元を機に「鈴木さん」や、関心がある人が集まる「鈴木サミット」を地元有志が市の協力を得て開催。鈴木屋敷は期間限定で「鈴木さんは拝観料0円」とし、鈴木グッズの開発などについて話し合った。

 サミットには、同じく人口が多い「佐藤」姓の発祥地とされる栃木県佐野市の「佐藤の会」のメンバーらも「ライバル」として登場し、同市によるグッズ販売や観光政策などを紹介した。

 サミット会場で、記者が「鈴木さんですか?」と尋ねると「もちろん」と答えたのは大阪市住吉区から訪れていた鈴木喜一さん(87)。「鈴木姓を誇りに思う。だんだんと海南市が第二のふるさとのように思えてきた」と笑顔で語った。

 鈴木屋敷 和歌山県海南市の藤白神社内にあり、一帯は2015年に国史跡に指定された。神社には熊野参詣道の玄関口「一の鳥居」があったといい、鈴木一族は参拝に訪れた人々の案内役も担っていた。約2千平方メートルの敷地に屋敷や庭園があり、2023年から一般公開が始まった。鈴木一族の家系図の複製や復元に関する資料を展示している。拝観料300円。

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