株主に特典を提供する株主優待を実施する上場企業数が24年9月末時点で1494社となり、2年連続で増えたことが13日、野村インベスター・リレーションズ(IR)の調査で分かった。新しい少額投資非課税制度(NISA)を追い風に増える個人投資家を呼び込む狙いだ。企業間の株式持ち合いの解消が進み、安定的に株を保有してもらう期待もある。
調査によると、1992年以降ほぼ毎年実施企業数が伸び、19年は過去最多の1532社が実施。新型コロナ禍の業績低下で、20~22年は減少した。23年は4年ぶりに増加に転じ、24年は上場企業全体の33.3%が導入した。
優待の実施目的を複数回答可で企業に尋ねると、24年は「株主の長期保有促進」が首位で、「個人株主の増加」と「株主への利益還元」が続いた。優待は自社商品などの魅力を知ってもらう好機だ。産業界では、企業が取引先との関係強化のために持ち合う政策保有株の解消が進む。野村IRの担当者は「受け皿として長期的に保有する個人株主を求める企業は少なくない」とみている。