東京女子医大の新校舎建設工事を巡る背任事件で、同大元理事長岩本絹子容疑者(78)が大学から1級建築士(68)に支払わせた不当な報酬約1億1700万円のうち約3700万円を、紙袋に入れた現金で受け取り還流させたとみられることが14日、捜査関係者への取材で分かった。建築士から直接ではなく、側近の女性を通じて受け渡しをしていた。
金の流れを確認しづらくするため銀行口座を使わず、間接的に還流させることで発覚を免れる狙いだった可能性があり、警視庁捜査2課が経緯を調べている。
捜査関係者によると、建築士は2回にわたり、二重にした紙袋に現金を入れ、東京メトロ東西線葛西駅周辺で側近に手渡した。側近は時間を置かずに岩本容疑者に渡していた。岩本容疑者は還流金をブランド品の購入などに充てていたとみられる。建築士は報酬から税金を差し引いた額のうち、3分の1ほどを受け取り、残りを岩本容疑者に渡していた。
側近の女性は大学経営統括部元幹部。捜査2課は岩本容疑者と共謀したとして、側近や建築士を任意で捜査している。