【パリ共同】フランスのバイル首相は14日、国民議会(下院)での施政方針演説で、2023年に国民の強い反発にもかかわらず政府が強行した年金制度改革の見直しを検討すると表明した。改革に反対する左派を取り込み、内閣不信任を回避する狙い。24年6~7月の国民議会(下院)総選挙以降、混乱が続く政治の安定化を図る。
年金改革は支給開始年齢を62歳から64歳に引き上げることが柱。国民の大半が反対し、労組のストライキやデモが続く中、政府は23年3月に法案を強行採択。同4月に法律が施行された。
下院総選挙は左派連合、マクロン氏の与党連合、極右政党による三つどもえの争いとなり、いずれも過半数に届かなかった。この結果を受けアタル元首相が率いた内閣は総辞職し24年9月にバルニエ氏が首相に就いた。
下院は同12月、25年の社会保障関連予算案を採決なしに強制採択したバルニエ氏の内閣の不信任決議を賛成多数で可決。内閣は総辞職に追い込まれ、予算案も廃案になった。バイル氏は24年12月に首相に就任した。左派の取り込みで予算案もとりまとめたい考え。