東京女子医大の新校舎建設工事を巡り背任容疑で逮捕された元理事長岩本絹子容疑者(78)が、側近の女性(52)を通じて男性1級建築士(68)に、報酬を還流した金は大学関係者2人と建築士の3人で「3等分する」と提案していたことが16日、捜査関係者へ取材で分かった。自身の関与を隠そうとした可能性がある。警視庁捜査2課が経緯を調べている。
捜査関係者によると、実際は建築士が得た報酬約1億1700万円から税金を差し引いた額のうち、3分の2に当たる約3700万円を岩本容疑者が受け取っていた。
還流は、岩本容疑者の指示を受けた側近の女性が建築士に説明し、了承を得た。その後、2018年2月の理事会で大学に建築士との契約を結ぶよう推薦。稟議は岩本容疑者が主導して作成したとみられ、建築士を「比類ない大きな実績」「なくてはならない存在だ」と説明していた。
大学の第三者委員会の報告書によると、建築士は16年4月に非常勤嘱託職員として大学に採用された。18~22年には給与とは別にアドバイザー報酬として計約3億円を受け取っていた。