タニタの赤ちゃん用の体重計「nometa(のめた)BB―105」は、1グラム単位で授乳量を確認できる。初めての母乳育児で不安を抱えがちな母親の悩みに応えようと、当事者の気付きを基に開発した。企画を担当した服部稔(はっとり・みのる)さんにヒットの秘密を聞いた。(共同通信=川村剛史記者)
2016年に発売。毎年、年間1万台以上を販売し、この分野では異例のヒット商品だ。想定価格は1万6千円前後。価格は2024年12月時点のものです。
「妊婦の多くが母乳育児を望む一方、出産後に4割以上が『母乳が足りているか分からない』と訴えるなど、母乳について悩んでいます」
赤ちゃんを乗せて体重を量り、授乳してから再び計量。授乳量のボタンを押すと、1グラム単位で分かる。5グラム未満の増減は表示されない一般的な体重計より、細かく確認できる。
「生まれて間もない赤ちゃんは飲む力が弱く、母乳を飲めたのかと自信を持てない母親は多い。少しでも飲んでくれたと分かれば安心できます」
出産と育児を経験した女性社員が母親の不安に気付いて商品化を提案。ボタン操作で簡単に計量できるなど、使いやすさを重視して開発した。
「授乳して不足分をミルクで補いたい時、必要量が簡単に分かります」
2024年、スマートフォンのアプリで授乳量を管理する新商品も発売した。
「成長を確認し、多くの親子が笑顔で過ごすために役立ててほしい」。服部さんは名古屋市出身、51歳。