東京農工大大学院と米イリノイ大の研究チームは18日までに、「くくりわな」にかかった成獣のニホンジカをツキノワグマが襲い、生きたまま食べる様子を初めて撮影したと発表した。くくりわなは広く使われているが、捕獲されたシカがクマの新たな食料源となっている可能性がある。わなを確認する捕獲従事者や、近隣住民がクマと遭遇する危険性も指摘した。
くくりわなは、ワイヤの輪の中に動物が踏み入れると作動し、足をくくる仕組み。今回の事例は昨年5月、栃木県日光市で撮影された。捕獲従事者がくくりわなと自動撮影カメラを設置したところ、成獣の雌のシカがわなにかかった。約40分後、クマがシカを取り押さえて捕食。カメラには、動かなくなったシカの周辺をクマが複数回訪れた様子が記録されていた。
研究チームの論文は昨年12月、国際クマ協会の学術誌「Ursus」オンライン版に掲載された。