北海道の野球独立リーグに加盟する「旭川ビースターズ」では2024年シーズン、アフリカやヨーロッパなど8カ国11人の外国人選手がプレーした。旭川市は、日本プロ野球初の300勝を達成したロシア生まれの名投手ビクトル・スタルヒン(1916~57年)が育った地で、球団は「国籍に関係なく選手を受け入れ、新たなスター選手を輩出したい」とする。
2024年12月中旬、旭川市に雪が降りしきる中、屋内施設では赤道直下のウガンダ出身カベンゲ・アラン投手(24)らがキャッチボールをしていた。持ち味は150キロの速球と制球力。「日本のプロ野球で活躍し、ウガンダの子どもたちが良い環境でプレーできるようサポートしたい」と夢を語る。
球団は2023年にリーグに参入。土肥翔治監督(40)とコーチはウガンダでの指導経験を持つ。入れ替わりはあるが外国人選手がチームの約半数を占める時期も。こうした情報が広まり、交流サイト(SNS)を通じ、野球が盛んとはいえない国からも入団希望が次々舞い込む。
土肥監督は「外国人選手の存在がチームに良い影響を与えている」と話す。スピードやパワーがある上、異国の地で結果を残すという覚悟や姿勢がほかの選手の刺激に。プレー中はジェスチャーや簡単な英語で通じ合い、日本人選手も「言葉の壁はない」と信頼する。
旭川では、戦前から戦後にかけて活躍した名投手スタルヒンが少年時代を過ごした。旭川市によると1916年生まれで、ロシア革命により亡命し9歳のころ両親と旭川へ。旧制旭川中(現旭川東高)中退後にプロ野球巨人の前身・大日本東京野球倶楽部に入団した。
旭川市には功績をたたえスタルヒンの名を冠した球場もある。球団の平亮事務局長(33)は「今後も多様性を軸にしたチーム作りをしていきたい」と意気込む。